保有効果

保有効果(endowment effect)は、経済学や心理学の概念であり、人々が所有している物品や資産に対して過剰な価値を見出す傾向を指します。つまり、同じ物品や資産を持っているだけで、それに対する評価や評価額が高くなる現象です。

保有効果は、人々が所有している物品や資産には感情的な結びつきや帰属感を持ち、それを手放すことによる損失を避けようとする心理的要因に起因しています。所有している物品は自己の一部として認識され、それに対して特別な価値や重要性が感じられるため、同じ物品を他人が所有している場合よりも高い評価がされる傾向があります。

保有効果は、市場価値や実際の需要とは異なる価値判断を引き起こすため、経済や消費者行動に影響を与える重要な要素です。例えば、人々が手持ちの商品や資産を高値で売却しようとしない、または高値で買い取ろうとするなど、交渉や取引の過程で保有効果が影響を及ぼすことがあります。

保有効果は、消費者の判断や行動、マーケティング戦略の設計などの分野で研究されており、人々の意思決定における価値の評価や交換のメカニズムを理解する上で重要な要素となっています。